第4回「食べ方のクリエイティビティー」
「食」から始まるムーブメント
- 池田
- なるほど。
いろんな食べ方からのライフスタイルですね。
- 田端
- そうですね。
- 池田
- クリエイティビティーという意味で、美術や表現と食の両方に向き合って制作を続けている三原寛子さん※という、私の尊敬している料理家の方がいらっしゃるのですが。
- 田端
- はい。
- 池田
- 美術館での展覧会に、「食」をテーマにしたクリエイターとして参加したり、自身の料理本をつくったりもしているんです。
現在開催されているゴードン=マッタ・クラーク展のサテライト企画※で、「料理というクリエーションと食におけるストリートカルチャー」というトークショーをされている中で、こう話していました。
『ゴードン=マッタ・クラークが制作をしていた70年代は、国家権力や体制が揺るがないものとしてあり、そのカウンターカルチャーとしていろいろな表現が生まれた。
だけど、今の日本は特に3.11以降、確固たる揺るがないものも不確かになり、何かへのカウンターではなく、自分自身でしっかりと立ち、頭と直感を働かせて、選択をしていかなくてはいけない。
そのことに気づき始めている人たちも多いし、そうやって働き方とか、何を食べるかとか、どう遊ぶかとかを、楽しみながら試行錯誤してオルタナティブな生き方をしている人も増えている気がする。
- 田端
- そうですね。
- 池田
- 三原さんは料理人としても、とても面白いオリジナルな活動を展開していて、野菜を入場料にした「ギブミーベジタブル」という食と音のイベントを全国50ヶ所以上で開催したりしながら、いろいろな人や食にまつわる表現を見てきている方。
食が表現というと大袈裟かもしれないけど、『食』は食べることで食物を自分の中に取り込み心身にしていくという行為。
そこで何を食べるか、どう食べるか、というのを考えて選んでいくのは、クリエイティビティー、表現なのかなと。
- 田端
- いいですね!!
- 池田
- 私自身は、アーユルヴェーダの仕事をしているので、未病を治すことや心身のコンディションを含めQOL※を上げていく「食」「健康」というものがやっぱり自分の心からの表現なのですが。
アーユルヴェーダにおける食の目的には、じつは「心に喜びをもたらす」というのもあって。
その両方の観点を、いろいろな仲間とシェアする体験そのものが、とても楽しいと感じています。
- 池田
- 資本主義のシステムの中で、堂々と自分で会社を起こして、もうカウンターでもなんでもなくて、そのフィールドの中で自分と勝負するということを、若い頃から卑屈な気持ちじゃなくてのびのびと、等身大で真剣にやっている人を初めて見ました。
それが春奈さん!
だから初めて春奈さんと出会った時に、すごく新しいな。これが時代か!って思ったのを覚えています。
何にも反抗してないけど、
でも自分を体現できる。
そういうたくさんのオルタナティブを、いろんな方に見てもらえたらな。
私自身もそんな春奈さんをずっと見ていきたい。
- 池田
- ということで、ちょうどお昼になったので、続きはご飯を食べながらいかがでしょう?
- 田端
- わあ〜い。
- 池田
- 毎日が実験だから、美味しいか分からないけども、どうぞ〜。
お茶というか強制的にお白湯でいいですか〜?
- 田端
- は〜い。きれーい。
これはなに?
- 池田
- これはアーマラキー※のピクルス。
近所にあるよく行くインド食材屋さんで買います。
- 田端
- えーちょっと食べてみよう…!!
そのまま食べるより食べやすくなってる。
けっこうご飯に合うかも。
こうやって食べるのか。
- 池田
- アーマラキーは、インドではフレッシュジュースにして飲むことが多いのだけど、ピクルスもいいよね。
- 田端
- 全部美味しい。
香りが豊かなんだけど、なんか優しい味。
- 池田
- アーユルヴェーダーでは一日に6つの味を摂りましょうっていうのね。
甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味。
でも、なかなか子どもがいると辛味が摂りづらい(笑)
ちなみにそのピンクの離乳食は何ですか?
- 田端
- これはね、ビーツとにんじんのおかゆ。
すごい色でしょ。
- 池田
- かわいい(笑)
いーな、いーなピンクご飯。ふふふ。
-
<つづきます>