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コラム『カナダに暮らす。カナダを楽しむ。』

第8回
カナダの我が家、
苦難の歴史と増築計画

こんにちは。
日本でぬくぬくとお正月を過ごし、先月、極寒のカナダ・モントリオールに戻ってきました。

秋から、カナダ人パートナーのヨーロッパツアーに同行して、その足で日本に一時帰国していたので、3ヶ月半ぶりの我が家でした。

でも、今年はしっかりモントリオールで過ごす予定です。
なぜなら、今年の我が家は、増築の年なのです!

カナダで中古の家を購入、
そして改装

いきなり増築の話もなんなので、まずは増築に至るまでの、我が家の短くも波乱に満ちた歴史についてお話します。

2016年の私の移住直後のことでした。モントリオール市内に買った自宅は、2階建のデュプレックス。1928年築というなかなかのレトロ物件です。

初代所有者のイタリア人家族のデザインによる、少し変わったファサードが特徴的な建物
▲当時この界隈にはイタリア移民が多かったそうで、初代所有者のイタリア人家族のデザインによる、少し変わったファサードが特徴的な建物です。

2階部分は、シェアする20代の若者3人に賃貸していて、1階部分が、私たちの住居スペース。また半地下にある倉庫を、現代音楽家であるパートナーがアトリエとして利用しています。
この住居とアトリエスペースを、購入直後に大改装しました。

しかしこの改装、私の想像を超えるとんでもない大変な出来事だったのです…!

自分たちで家を建てる
カナダ人ファミリー

この改装、なんとほとんどの作業を、私のパートナーとそのお父さんが行ったのです。
現在は退職しているお父さん、もともと自動車修理工でしたが、やがて独立し、自分で家を建てては売ってきたそうです。

幼い頃からお父さんの仕事を手伝ってきた彼の兄弟たちは、それぞれ建設・建築業に携わっています。また、お母さんも経理担当でお父さんを支えてきました。

私のパートナーもやはり20代前半までは、建設業に従事してきましたが、その後、音楽を学び、現代音楽家に転身、という家族の中では異例の経歴を持っています。

物置の改装
▲物置の改装。お父さんとともにすっかり大工さんのパートナー

そんな家を建てることに関してはプロの彼ら、改装も自分たちで行ってしまうのです。でもまさか、住みながらやっていくとは…!

カナダに移住直後で、またこれまで、パートナーの現代音楽家としての顔しか知らなかった私にとっては、衝撃的な暮らしの始まりでした。

苦難の大改装・その1
「工事の毎日…」

間取りが気に入らなかったので、壁を壊して新たに作り、不要なドアは取り去り、別の位置に設置。暖炉もいらないので、取り除いてまっさらな壁にしたり…。

大掛かりな作業は、私の移住前に進めてくれていましたが、私が到着してからも、すべての壁や天井の塗り替えなど、まだまだ作業は続きました。何もしないわけにはいかない私も、ドアやドア枠のペンキ塗りをお手伝い。

天井のペンキ塗りをするパートナー
▲天井のペンキ塗りをするパートナー。プロの腕前の上、作業道具も自前!

しかし、さらに大変だったのが、並行して行った彼のアトリエスペースの大改装。
すでにあった倉庫ですが、天井を2mほど高くして、防音設備や床暖房を設置、その後コンクリートを壁と床に流し込むという作業を行いました。

この作業には、さすがに重機を扱う専門家やコンクリ業者さんを呼びましたが、彼らと一緒に作業を進めていく彼とお父さん。
これがもう、騒音と埃の毎日で、思い出すだけでつらい気持ちになります…。

アトリエスペースの改装
▲アトリエスペースの改装。防音設備と床暖房を設置後、コンクリートを敷き詰めていきます。

本職を忘れたかというほど、ボロボロになって工事に打ち込む彼。そして、泊まり込みで協力してくれるお父さんは、なんと80代!二人の強靭な肉体と精神力には、驚くばかりでした。

苦難の大改装・その2
「水害!!」

改装が進むあくる日、なんと工事中の我が家は、水害に見舞われました。この日は、モントリオール一帯に集中豪雨が発生、多くの家屋に、雨漏りや浸水などの被害があったそうです。

我が家の被害はというと、なんと、突然トイレから水が溢れ出したのです!!その水が家中に流れるという、かなり悲惨なものでした。

溢れ出る現場を目撃した私は、「キャー!!!!!」
そして、流れ続ける水に呆然とするほかありませんでした…。

まもなく保険会社の担当者が駆けつけ、調査が行われました。
まだ幸いにも、この水はトイレの汚水ではなく、屋根に溜まった雨水が、閉じた暖炉の空洞を介して流れ込んだものだったとのこと。

床の張替え
▲床の張替え。もともとの床板は気に入っていなかったので、張替えられてラッキーでした。新しく選んだのは、ダークブラウンのメープルの床板、雰囲気もガラリと変わりました。

とはいえ、複数の部屋に流れ出た雨水。調査の結果、唯一、水が及ばなかった1部屋を除き、すべての床の張替え、壁も一部分を造り直し、塗り直しの作業が必要と診断されたのです。

改装やり直し、
生まれ変わった我が家

今までの作業が台無し、それにはがっかりでした。

でも、その後の作業はもちろんすべて業者さんがやってくれる上に、予定していなかった床の張替えや、予算の都合で後回しになっていたバスルームの改装も、火災保険の補助の下、すべて一挙に行われることになり、我が家としては良い面がたくさんありました。タイルや床の資材も、好きなものを選ばせてもらい、結果的に、まったく新しい家に生まれ変わることができたのです。

別の姿になったバスルーム
▲水害の始まりとなったバスルームも、床、壁、バスタブ、シャワー、シンクもすべて取り替えてすっかり別の姿になりました。何より嬉しかったのは、同室だったトイレが別室に移されたこと!

そして工事の間は、市内の別の家に滞在することになりました。
そこは広くて素敵な家で、私にとっては、工事中の家に住み続けるよりも断然快適でした。

しかし、この工事はさすがに大掛かりなものだったので、かれこれ半年近くもかかったのです。

こうして、ようやく基本の内装ができあがった我が家。その後、家具や収納を揃えていかなければならず、まだまだ作業は何ヶ月も続き、作業開始から1年が経過して、やっとまともな家になりました。

3階増築計画

しかし、パートナーの本当の望みはここで終わりではありませんでした。実は、見晴らしの良い3階部分に引越しすることが、最終的な希望だったのです。
そのために、3階部分を増築し、既存の1階部分は別の世帯に賃貸しするという計画です。

それが、最初の工事開始から3年が経過する今年の春なのです。
「また工事〜!?」と、私は心底うんざりですが、確かに、格段に日当たりの良い3階には引っ越したい…。

数ヶ月の辛抱、どんな日々になるのだろうと不安はありますが、工事後の快適な暮らしを夢見て、なんとか、パートナーとともに頑張りたいと決意しています。

床下から出てきた大量の古新聞
▲張替えの際に、床下から出てきた大量の古新聞。こちらの年代は1930年!『女性たちの王国』という記事で、当時の女性向け最新ファッションが掲載されています。戦時中の1942年の新聞には、日本について描いた風刺画もありました。思いがけず、興味深い発見でした。

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