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コラム『カナダに暮らす。カナダを楽しむ。』

第4回
湖畔の家chaletで過ごす、
ケベック流バカンス

8月もまもなく終わりますね。
皆さんはどんな夏を過ごしましたか?

私の暮らしているカナダ・ケベック州では、夏の休暇をchaletで過ごす人がたくさんいます。
今回は、そんなchaletの魅力についてお話します。

chaletというと、日本ではスイスの山小屋「シャレー」が有名ですね。フランス語で厳密には「シャレ」と発音するので、私のコラムでは原語記載の「chalet」にしておきます。

ケベックのchaletとは?

ケベックのchaletは、山に限らず、幅広く「自然の中の家」のことを示します。

いわゆる日本の別荘のような存在で、所有していたり、借りたりして、まとまった休暇に出かけるのです。

その過ごし方はさまざま。

カヤックやスキー、釣りなどを楽しむため、家族や友人たちと集まるため、あるいは都会の喧騒から離れ、仕事や読書に集中するためなど…。

私のケベック人パートナーも、夏にはモントリオールを離れ、自然に囲まれたchaletに向かいます。

知り合いから毎年借りているchaletで、彼の両親とともに、フリーランスの彼と私は、仕事を持ち込んで2週間強を過ごします。

そしてその期間中、他の兄弟や友人たちが訪問してくることが慣例となっています。

知り合いから毎年借りているchalet
▲オーナー夫妻が60年代に土地を購入、時間をかけて建てたというchalet。夫妻が頻繁に滞在して手入れをしているので、現代的で洗練された内装です。

車で1時間半も離れていない距離なのに、蒸し暑い7、8月のモントリオールとは別世界。
木々が生い茂る瑞々しい空間に建てられた一軒家は、湖まで3分です。

隣近所や対岸にもchaletがありますが、森林や広い湖で隔てられていて、プライベートの湖のように他の人気は感じられません。

穏やかな湖で泳ぐ

ケベックの人たちは湖で泳ぐのが大好き。

ケベック州内には、たくさんの湖が点在していて(小さいものも含めれば、その数なんと約360万だそう!)、湖とは身近に育ってきた人たちが多いようです。

私のパートナーは滞在中、毎朝・昼・夕と湖に入ります。
彼の80代のお父さんも、訪ねてくる家族たちも老若男女問わず、迷わず湖へ。

幻想的な湖
▲気候や時間帯によって異なる表情を見せる湖。とりわけ、日の入り直前の湖は、なんとも幻想的。

一方、カナダに来るまで湖では一度も泳いだことのなかった私。
最初は少し躊躇しましたが、思い切って水に入りました。

岸を離れるとまもなく、足が地につかなくなるほどの水深になり、慣れないうちは怖い…。
でも、海と違って波はなく、川のような絶え間ない水流もなく、湖はいつも穏やか。

水は透き通って、湖面には周囲の木々が映り、気候や時間帯によってさまざまな色彩を見せてくれます。

たちまち、湖の魅力を実感しました。

穏やかな湖で泳ぐ
▲海や川に比べて穏やかな湖。多くのケベック人たちは、幼い頃から湖で遊び慣れています。

カナダの動植物を身近に

chaletから湖へ降りる道には、ガーデニング好きのオーナー夫妻によって、さまざまな植物が植えられています。

ブルーベリー、ラズベリー、ルバーブなどは、8月には食べ頃になっているので、頂いてクランブルを作ったりジャムにしたり。

濃いピンク色で、反り返るように花びらを広げる姿が印象的なのは、エキナセア。

ノバスコシア・オーガニックスの人気商品、喉スプレーに使われているハーブですね。
>エキナセア&プロポリススプレー
カナダでは昔から親しまれている植物で、私たちの滞在中はいつも見頃です。

庭のエキナセア
▲庭のエキナセア。カナダでは免疫力を高めてくれることで名高いハーブ。鮮やかなピンクのお花は、鑑賞用としても愛らしい外見。

植物ばかりでなく、カナダらしい動物たちも見かけます。

木々の合間からよく姿を見せるのは、可愛らしいシマリス。
シカも多く、今年はたくさんのブルーベリーが食べられてしまったとオーナーさんが嘆いていました。

静かな湖畔に響き渡る神秘的な鳴き声の主は、ハシグロアビ。
カナダの1ドル硬貨の裏側に描かれていて、カナダを象徴する鳥の1つです。

英語の「ルーン」という名前に因んで、1ドル硬貨は「ルーニー」と呼ばれることもあるそう。

潜水の得意な水鳥で、一度水中に入ったかと思うと、再び湖面に姿を見せたときには遥か遠くにいます。

屋外で火を焚くかまど
▲chaletにはよく屋外で火を焚くかまどがあります。カナダ人は火を眺めるのが好きで、かまどを囲んで談話しながら、マシュマロを焼いて楽しんでいます。

湖畔の夜

満月の夜には、蚊の襲撃に負けずに、湖に下りて月を見に行きます。今年はペルセウス座流星群が見られる夜もあり、プラネタリウムのような見事な星空を眺めることもできました。

ボートで暗闇の湖に浮かぶと、虫や鳥の鳴き声、魚が跳ねる水音、森林の湿った匂いなど敏感に感じられる気がします。

満月の夜
▲満月の夜。静まり返った夜に、しばしばハシグロアビの神秘的な鳴き声が響きます。

だけど、家の中では大自然を忘れます。
私のパートナーの家族は、chaletでは夕食後にみんなでテレビドラマを観るのが恒例。

ドラマは甥っ子が事前に用意してくれるのですが、いつも歴史物で、これまで北欧のヴァイキングやカリブ海の海賊をテーマにしたシリーズを観ました。

内容はとても興味深いのですが、日本の大河ドラマとは違って、かなり血なまぐさいシーンを具体的に見せられるのは個人的には不満…とはいえ、続きが気になって毎晩、鑑賞会に参加してしまいます。

カナダ移住前から参加していた彼の家族とのchaletでの夏休み、私にとって今年で3度目でした。
来年も来られるといいねと言いながら、熱波の影響で酷暑が続くモントリオールに戻りました。

ケベックのchaletは、都市部から近く、インターネットなどから気軽に借りられるところもあります。

ぜひお気に入りのchaletを見つけて、カナダの大自然を身近に体験してみてください。

midoriさん

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