
産後の回復と授乳を支える体づくり
妊娠中のからだづくりからお伝えしてきた、こちらのコラムも産後まできました。どんな出産も、あなたと赤ちゃんが出会えたことに、まずは祝福を贈らせてください。
命の誕生ストーリーの主役は、生み出す女性と赤ちゃん。助産師は、主役が力を発揮できるようにサポートする黒子です。命を生み出して母としての強さ、しなやかさを身につけて成長される姿を見守らせてもらえることが喜びです。

出産直後、最優先すべきは「休息」
出産を終えたお母さんたちにお伝えしているのは、まずは休息をとること。
出産ってフルマラソンを走り切るくらいのエネルギーを消耗します。私は目も休めて欲しいから、お祝いメッセージへの返信も後回しで大丈夫とお伝えしています。
目を使い過ぎると、首が凝って授乳や抱っこに影響します。また、首は背骨を通って骨盤とつながっているので、骨盤の回復にも影響します。赤ちゃんが寝ている間に色々したくなるけど、横になって、体だけでなく、頭と目も休めてあげましょう。
休もうと思っても、なかなか休めないのは、気疲れがピークになっているのかもしれません。赤ちゃんがいると、いつも以上に頑張れちゃうから、疲れにも気づきにくくなりがちです。
横になっても眠れない時は、ゆっくり深呼吸をしながら背中の緊張をほぐすストレッチをしてみてください。ヨガのチャイルドポーズは呼吸が深まりやすくてリラックスしやすいですよ。

「休息」は乳腺炎の予防にもつながる
まず、休息をおすすめするのは、乳腺炎予防にもなるから。乳腺炎はおっぱいの風邪と言われることもあるように疲れがたまった時に起こりやすいです。
ケーキや油分の多い食事をすると乳腺炎になりますか?と相談を受けますが、食事と乳腺炎は関係ないと言われています。まずは、「出産も子育てもよくやってる私!」と、休息というご褒美をあげてください。

栄養を受け取れる体の土台
産前産後に起こりやすいマイナートラブルとして、もう一つ便秘があります。産後は特に、骨盤が不安定になり、骨盤の中にある腸の働きがにぶります。つい、トイレに行きそびれて便意を逃してしまう方も少なくありません。
まずは、食物繊維たっぷりのお野菜を消化しやすいスープにして水分も一緒に摂るようお伝えしています。お味噌汁は発酵食品である味噌も一緒に取れるのでよりおすすめです。ご家族に手伝ってもらえる時に、多めにお野菜をカットして冷凍しておくと、使いたいときにすぐお鍋に入れられるので便利ですよ。
産後も、鉄分、タンパク質、回復を助けるためのビタミン類などの栄養素を必要としています。でも、たくさんの栄養を摂ろうとしても、腸の状態が整っていないと吸収できません。
睡眠不足で疲れやすい産後は消化力も弱まりやすいので、まずはおなかの調子を整えて、体にやさしくしましょう。卵を追加するとタンパク質や鉄分もとれてバランスもよくなります。具沢山のスープを作り置きしておくなどで、少しでも回復を助けるお食事を心がけましょう。

自分自身の体と心を満たしてあげる
妊娠中は赤ちゃんのために、と自分の体への意識が高まりやすいですが、産後は生まれてきた赤ちゃんのことを優先して、自分のことを後まわしにしがちです。
でもね、産後の期間って、次の妊娠への準備をする期間にもなるし、これからのライフステージにつながる大切な期間です。
みなさんは「ミルクピッチャー理論」ってご存知ですか?
愛情のミルクがピッチャーいっぱいになることで、周りの人に注ぐことができると言われています。赤ちゃんを大切に思うあまり、私が何でもしなきゃと頑張りすぎていませんか?体も心もエネルギー不足になっていませんか?

まずは自分自身のピッチャーを
いっぱいに満たしてあげることが大切です。
— 林 有香(助産師)
頼れる時は周囲を頼って休もう
「好きなことしていいよ。」と言われても分からなくなっちゃうのが産後。家族や誰か他の人が赤ちゃんを見てくれていても、気になって休めないし…。と初めはなるけど、少しずつ慣れてきます。
ママの代わりはいない。だからこそ、誰かが変わってくれる時は休んでください。赤ちゃんの可愛さをまわりの人と共有できると赤ちゃんの世界も広がります。体が回復すると、心に余裕が生まれるので、赤ちゃんのことをより可愛く思えますよ。

子供って、どこに目がついているんだろうと思うくらい、ママのことをよく見ています。だからこそ、ママが幸せでいること。楽しんでいる姿を赤ちゃんも見ています。そうすることが、赤ちゃんたちが将来やりたいことを見つけて楽しむことにつながると思っています。
やりたいことを楽しむためにも、普段の生活の中でできるセルフケアを楽しんで取り入れてみてください。セルフケアを積み重ねて、自分を大切にしてきた自信が内側から輝く美しさにつながります。そして、自分のために続けたセルフケアが家族の健康を守る知恵につながれば嬉しいです。

今回で、こちらのコラムは最終回になります。
私自身も、迷いを感じたり、心配で悩んできたこと。そこから少しでもヒントになることがあればいいなと書き綴ってきました。あなたが、迷いを感じている時に、また思い出してもらえると嬉しいです。
これまで最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

林 有香
助産師 / 周産期ケアスペシャリスト
助産師として20年以上勤務。呼吸を大切にするストレッチやお食事の質の見直しといったマタニティサポートを行う。専門職向け講座の講師も担当。













