産前産後のよりみち保健室vol,06

vol.6 「何もしない」という体への贈りもの

〜忙しい日々に「余白」をつくるリセット時間〜

vol.6 「何もしない」という
体への贈りもの

〜忙しい日々に「余白」をつくる
リセット時間〜

  • この記事でわかること
  • 日常で脳を休ませるマインドフルネスの取り入れ方
  • 自分の本音に気づき「やらない」選択をする大切さ
  • ヨガと呼吸法で心身の緊張をゆるめるコツ

動けない日もある、そんな自分を肯定する

前回のコラムでは、陣痛の合間に感じたリラックス時間。それが、マインドフルネスの感覚と似ていたと綴りました。マインドフルネスは、心をととのえる方法として紹介されています。日本マインドフルネス学会では、「脳を休息させるための心の筋トレ」「今、この瞬間の体験に意図的に意識をむけ、評価せずに、とらわれのない状態でただ観ること。」と言われています。

例えば、手を洗う時。何も考えなくても、蛇口をひねって、お水を出して、手を濡らす、タオルで拭く。意識しなくても一連の動作を行えます。むしろ、何も考えなくても出来るから、手を洗いながら、「今日の晩御飯どうしよう?」とか、別のことを考えたりしています。

マインドフルネスでは、「今」感じていることに注意を向けます。だから、蛇口がツヤっと光っていることとか、水の冷たさ、流れる音、タオルのやわらかさ、といった今感じている五感に集中することで別のことを考えなくする。ただ、今おこっていることだけに集中することで、色々と考える思考をストップして「脳を休息」させます。

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自分の感情に「気づく」ことから

私自身のマインドフルネス経験は、脳の中で次々起こる考えに気づき、手放しを繰り返すことで、出来事に対してどのように対処するか、自分の中で気づくことが学びになっていきました。そして、少しずつ何も考えない心地よい時間が体験できるようになりました。マインドフルネスが、ストレスマネジメントと言われるのは、自分の感情や思考に「気づく」ことで、対処法にも気づけるようになるからかなと思います。

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「やらない」という選択も

あえて「何もしない」ことを選んでみてください。数分でも横になってみる。床の冷たさを感じてみる。「晩御飯つくらなきゃ。」とか考えが出てきても、それで大丈夫。私そう考えていたんだ。とまずは、気づいてあげること。
そして、また深呼吸を繰り返しながら慌ただしい日常から、少しだけ離れる時間をもつことで、自分の思考や感情のパターンに気づいていく。「作らなきゃ」の次につながる、「作りたくない」に気づいたなら、作らなくていいんです。

自分の気持ちに気づいて「やらない」と本音に気づけるって、できそうでできないこと。もちろん、それでも作りたい自分もいい。感じる心を大切に、選択肢があることの自由に気づいたことが大切です。

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心と体の緊張をほどくヨガ的な視点

ヨガでも、体に意識を向けて。とよく言葉にします。動いてどんな感じか、伸びて気持ちよく感じる部分をお伝えしています。そうすると、体の感覚に集中できるので、色々考えてしまう頭の中を、ふわっとほどいていくのに効果的だと感じています。

「産後って何してました?」と、時々聞かれるのですが、実は私は、じっとしているのが苦手で、イベントや買い物など、よく出かけていました。産休中に赤ちゃんとの時間を思う存分楽しめば良かった。と今では思うのですが、出産をきっかけに退職したこともあり、また働けるのかな。という焦りも当時は感じていたのかもしれません。
仕事をしていない自分が「なんだか社会から取り残されている気がする」と感じていました。出かけることが楽しかったのですが、どこかに「何かしないと」という気持ちもあったように感じます。

そんな思いに気づいたのも、当時の自分を振り返り、気持ちを見つめる時間をとれたから。

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「自分の時間」を取り戻し、心を解きほぐす

ヨガをして、瞑想する時間を習慣にしているのですが、じーっと呼吸で吐く息、吸う息に集中する時間って贅沢だなと感じます。たった数分でも、やるかやらないかで気持ちのスタートが変わるので、1日がとっても快適に過ごせます。

産後のお母さんが「何もしていないのに、あっという間に時間がすぎて」と言われることがあります。でもね、赤ちゃんのお世話をして、家事して。実は、とっても忙(せわ)しなく動いています。何もしていないと感じるのは、誰かのために動いていて、自分を感じる時間がないからかもしれません。やるべきことに追われているから、やりたいことができない、やりたいことがわからなくなって「何もしていない。」と取り残されたような気持ちになることがあります。

何もしない時間をつくることは、
がんばってきた自分を休ませる大切な時間です。

— 林 有香(助産師)

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日常の中に「ただぼーっとする」贅沢を味わう

だから、産後にヨガに来られた方には、思う存分、自分の体の感覚を味わってもらいます。ガチガチに硬くなった体では、休もうと横になってもなかなか休息できないから。気持ちいいと感じる時間を大切に。最後は呼吸法でリラックス。運動した後は、副交感神経が優位になりやすいと言われています。ただ呼吸して、自分にやさしくなれる時間を感じてもらっています。

ヨガって、ポーズをとることと思われがちですが、実は最終的に目指すのは心の安定。ポーズ(アーサナ)をとりながら、体と心のつながりを感じ、ざわざわしがちな頭や心を最後のリラックスで穏やかに整えていきます。

何もしないことで、体と心に余白を作る。旅先で感じる「ただぼーっとする」贅沢な心地よい時間を、ヨガやマインドフルネスで日常に取り入れてみてください。

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助産師 林 有香

林 有香

助産師 / 周産期ケアスペシャリスト

助産師として20年以上勤務。呼吸を大切にするストレッチやお食事の質の見直しといったマタニティサポートを行う。専門職向け講座の講師も担当。

・助産師・産後ケア実務助産師
・マターナルヨガ指導者
・女性のための陰ヨガ指導者
・中医アロマおうちセラピスト

総合病院(産婦人科病棟)
周産期センター
産婦人科クリニック勤務

現在
・病院にて助産師外来、小児科外来勤務
・ほがらか助産院(マタニティサポート 訪問型産後ケア)

【第7回は2026/9/4(金)更新予定】

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