産前産後のよりみち保健室vol05

vol.5 お産に向けた心と体の準備

出産への体の準備が産後の自分を支える「予防」になる

  • この記事でわかること
  • お産と産後の回復をスムーズにする体づくりのコツ
  • 心と体をゆるめるマッサージと呼吸のヒント
  • 産後うつや貧血を防ぐための自分をいたわる栄養

お産に向けた体づくり

前回は、赤ちゃんを感じることとおなかの張り(子宮の収縮)についてお話しさせてもらいました。予定日が近づいてくるとおなかの張りは増えていきます。

37週からは正期産といって、赤ちゃんが産まれる準備ができた期間。さぁ赤ちゃんは産まれる準備はできました。10分間隔の陣痛がはじまれば、出産の始まりとなりますが、妊婦さんの体の準備はいかがでしょうか?

何から始めたらいいの?とご相談を受けた時は、骨盤周囲をよく動かすことをおすすめしています。ヨガのキャット&カウや足の付け根(鼠蹊部)を回す動きは赤ちゃんが産道を通りやすく整えてくれるのでやってみてくださいね。

お産に向けて、まずは「骨盤まわり」を動かそう

膝に手を当てて、足の付け根をまわす

無理をせず「ほぐすストレッチ」から

「やった方がいいですか」「どうやってするのですか?」とご相談を受けるのが、「会陰えいんマッサージ」。実際に方法をお伝えすることもありますが、触るのに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。そんな方には、内股やお尻の筋肉を柔らかくするタオルマッサージやストレッチをお伝えしています。会陰えいんマッサージの注意点は、感染症を指摘されている方、かゆみやおりものが多い方は炎症が悪化する可能性があるので産院に相談しましょう。

産道をやわらかくするタオルストレッチ

  • フェイスタオルを丸めて、お股に当てて座ります(会陰にタオルが当たるようにしましょう)
  • ゆっくりと深呼吸をしながら、心地よいと感じる強さで体を揺らしましょう。
  • 左右交互でも、気持ちいいと感じる方だけでも構いません。
タオルマッサージ:おしり

会陰をやわらかくするマッサージ

  • 心地よい姿勢で座り、手のひら全体で内ももを優しくさすります。
  • ラップの芯を使ったり、タオルで覆って優しく揺らしたりするのもおすすめ。
  • 気持ちいいと感じる方法でほぐしましょう。
セルフマッサージ:内ももをほぐす

心と体をゆるめる呼吸の練習

全ての方におすすめするのが、呼吸法の練習です。体に力が入っていることに気づかずに、肩や首が緊張したまま深呼吸されている方が多いです。

お風呂に入った時に、ふぅーとため息が出る感じ。あの体の力が抜けてゆるんだ感覚を妊娠中に、どんな姿勢でもできるようにすると出産時に役立ちます。

陣痛で緊張する、初めて経験する分娩室など、体も心も慣れない環境にいると、リラックスすることが難しくなります。だからこそ、妊娠中に体の力が抜けた状態を「体感」できるよう、何度も感じる経験をしてもらえればと思っています。

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私の出産を支えてくれた「体と心のゆるみ」

私の出産時の記憶に一番残っているのは、陣痛と陣痛の合間の休憩の時間。ふっと体の力が抜けた時、深いマインドフルネス状態のような心地よさを感じられました。

陣痛が強くなると、幸せを感じるエンドルフィンが分泌されます。麻薬のモルヒネの数倍から数十倍の鎮痛作用があると言われることから脳内麻薬とも言われています。出産に立ちあわせていただく時に、とてもリラックスされて気持ちよさそうにされている方もいらっしゃいます。

私の出産経験を振り返った時に、このエンドルフィンのおかげで陣痛を乗り越えられたのかなと思います。産後にヨガで、体の力がほどけるようにリラックスした状態になった時に、同じような感覚を思い出し、体がゆるんだ感じを妊娠中に感じることができれば、出産に役立つと思いレッスンを始めるきっかけになりました。

体と心をゆるめておくことは、
産後の自分を支える予防になります。

— 林 有香(助産師)

少し先の未来(産後)を楽にするための準備

骨盤まわりを動かしておくこと、呼吸法の練習。出産のために体の準備をしていると、産後の回復を助けてくれます。

赤ちゃんが産まれると、お世話をするための24時間のママ時間がやってきます。呼吸法でリラックスできると、短時間で休めたり、寝たいときに眠れるようになります。

そして、自分を喜ばせる、ご褒美タイムも見つけておきましょう。妊娠中から、美味しいと感じる好きな食べ物、行くと気分が良くなる場所、ほっと一息つける読書タイム、気持ち良いと感じるマッサージ、深呼吸したくなるアロマの香りなど。

あなたが心地よいと感じる気分転換できる方法を見つけておくことも、赤ちゃんとの生活を楽しむ秘訣です。ご家族やまわりの方とも共有して、疲れを感じる前にご褒美タイムをとれるようにしましょう。

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自分をいたわる栄養の話
体が喜ぶ「自分へのギフト」として

食べものや飲み物は、ほっと安らぎを感じる方法の一つ。「食べたいものがない、食べたものが美味しく感じない、食欲がない」は気持ちが疲れているサインかもと思ってください。産後に心配される「産後うつ」の前触れのこともあります。

実は、産後うつのリスクが上がる一つに貧血があります。出産の時は多少なりとも出血を伴います。ぜひ、貧血になる前の普段の生活から補いましょう。
卵や赤身のお肉やお魚、小松菜、大豆製品、ひじきなどの海藻類に多く含まれています。出産だけでなく、産後に始まる授乳のため、産後の回復を助けるためにも、ぜひ毎日意識して摂取しましょう。

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赤ちゃんに会える楽しみと共に、無事に産まれてくれるかな、赤ちゃんを育てられるかな、といった不安や心配が具体的に出てきやすくなります。
そんな時こそ、できることはやってきたあなた自身と一緒におなかで大きくなってくれた赤ちゃんを信じて。元気な胎動の動きを感じられるのも、もうあと少し。

妊娠したということは、赤ちゃんを生み出す力ももっているということ。どんな出産方法でも、赤ちゃんとの初めての出会いとなる出産が宝物となるよう、出産のイメージがポジティブになり、あなたの体と心を大切に過ごせますように。

助産師 林 有香

林 有香

助産師 / 周産期ケアスペシャリスト

助産師として20年以上勤務。呼吸を大切にするストレッチやお食事の質の見直しといったマタニティサポートを行う。専門職向け講座の講師も担当。

・助産師・産後ケア実務助産師
・マターナルヨガ指導者
・女性のための陰ヨガ指導者
・中医アロマおうちセラピスト

総合病院(産婦人科病棟)
周産期センター
産婦人科クリニック勤務

現在
・病院にて助産師外来、小児科外来勤務
・ほがらか助産院(マタニティサポート 訪問型産後ケア)

【第6回は2026/8/21(金)更新予定】

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